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Playing with Clay in the Ivory Tower

itowerny.exblog.jp
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2010年 09月 18日

彼の地にて思考する

ニューヨークに到着してから1週間が経過しようとしているところです。今までのところ街中を少し歩く以外にどこかに出かけるということはしていません。何よりも時差ボケの解消に時間がかかっていること、環境の変化とともに悪化しがちな喘息との相談をしていること、そして更に灼熱の東京に慣れたからだがニューヨークの涼しさに戸惑いを見せていることなどが理由として考えられます。それから悪いことに秋のアレルギーは国をまたいで発生し、鼻がむず痒かったり、喉ががらがらしてしまうということで、体調が整うまでには相当程度に時間を必要とすることが予想されます。ただこちらでの仕事に入るようになるのは、10月に入ってからということもあり、その頃には気温も下がりアレルギーの症状というのも緩和されているものと思われますから、今は少し我慢するしかありません。日本での花粉症や黄砂アレルギーほどの酷さはありませんが、こうやって毎年どこにいてもアレルギーに悩まされるというのは、少しずつ快適さを積み重ねてきた慣れの果てに暮らす現代人にとって仕方がないことなのかも知れません。とりあえず時差ボケについてはほぼ解消したと言えますが、喉の痛みなどは気をつけなければならないというシグナルとして少し緊張感を持たせておきたいと思います。

さて今は語学研修中というたいそうなご身分であり、アメリカの家庭にホームステイをしている最中です。ハーレムというなかなか暮らす機会はないような場所で、アメリカ人と共に生活するというのは、英語力の向上もさることながら、新鮮な感覚をもって日々を迎えられるという点で有意義であるとも言えます。ただし、良いことばかりではなく、結局のところインプット無くしては英語力は殆ど変わりませんし、他人の家で暮らすということは居心地が良いとは限りません。ホストはテレビ局に勤める娘で、その母親とエジプトからの学生と共に暮らしています。今はハーレムとは言え、相当に治安も改善されていることから、外を出歩けないといったこともありません。ただし東京で暮らしている時に比べれば、警戒心のレベルはどうしても高くなるのかも知れません。彼らの英語は必ずしもすべて聞き取ることが出来る訳ではありませんが、コミュニケーションが出来る程度には理解出来ているのだろうと思われます。しかしながら、微妙なニュアンスをいかにして処理するか、日本ではあまり表現しない感情などをいかにして伝えるべきか、というところにはどうしても戸惑いが残ります。これは3週間という短期間では改善することが出来ませんが、それは少しずつこちらでの生活に馴染むことで学ぶしかないことであるかも知れませんが、積極的にコミュニティに溶け込むという癖のない私にとっては語学以上の壁かも知れません。

この年齢で語学学校に通うというのは、なかなかしんどいものがありますが、良い先生と言える先生もいますし、クラスメートもそれなりのビジネス経験のある人たちであることから、単に英語を学ぶこと以上のものを勉強できているということはあるかも知れません。ただ上にも書きましたが、英語というのは自らのインプットなくして上達することは有り得ません。アメリカに暮らしてしまえば何とかなるという発想はそもそも持っていませんでしたが、やはり受け身の姿勢でいくら授業を受けてもある時突然に英語を話せるようになったりすることはない訳です。私はCFAの勉強をしたり、仕事で英語を使うことで、ファイナンスやアカウンティングに関連するような英語の語彙はあるのですが、それ以外の英語をスムーズに話すというところに至るにはかなりの期間が必要であり、この20ヶ月という短期の海外派遣においては達成することは出来ないだろうと考えています。更に何とも言えないのが、日本人は私を含めて英語が下手すぎるということです。それが悪いとは言いませんが、国際性をうたう事が出来るようになる水準は程遠いように感じてしまうことは確かです。読み書きは訓練でどうとでもなりますが、特にリスニングの問題はどうすれば乗り越えられるのか当面は試行錯誤ということになりそうな気がしています。

CFAについては、住所が決まるまでは教科書を受けとって荷物を増やすということをしたくないので、申し込みはもう少し先になりそうです。代わりに今年受験した際には時間がなくて読むことの出来ていなかったSchweserを手荷物に詰め込んで連れてきました。後はCDで流れるおっさんの声を聞きながら少しずつ記憶を取り戻すというリハビリを始めたところです。英語の勉強にもなるというメリットがあるのではないかと考えていましたが、なかなか集中して長時間聞くということは出来ていないのが現状です。ニューヨークでは東京よりも歩く時間が長いので、移動時間を有効に使えるという点では重宝しそうな気がしています。逆に集中して聞いていると、未だ慣れない地下鉄で降りるべき駅を乗り過ごし、少し会社のオリエンテーションに遅刻するといった事故が起きたりする訳ですが、そういった自分のしょうもなさを見てみると、日本にいたときと変わらない日々をすぐに過ごすことになってしまうのだろうなと考えていたりもします。仕事やCFAの勉強を始めてしまえば、日常の引力のようなものが生まれ、その慣性に逆らうことは出来なくなってしまいますから、今のうちに街の中を無駄に歩き、自分なりの地図を作るということをしておいた方が良いのかも知れません。
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簡単に空を飛べる時代がやってくると信じていた人は少なかったが、それでも信じていた人がいなかった訳ではない。文明の利器の飛行機は、続けることの大切さを物語る。

by ivory_tower_ny | 2010-09-18 12:45 | NY


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